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実施−プロジェクト実施内容


実施体制

イラク南部湿原プロジェクトは日本にあるUNEPの技術・産業・経済局国際環境技術センター(DTIE/IETC)が実施しています。

イラク全土にわたる治安情勢を理由として、国連職員のイラク入国は厳しく制限されています。このことからUNEPはイラク環境省、水資源省、地方自治公共事業省などイラク関連政府機関との密接な協力のもとでプロジェクトを実施しています。UNEPはイラク環境省の施設内にプロジェクト実施ユニット(PIU)を設置しています。またプロジェクトでは、ナショナルコーディネーターを雇用し、適切な安全対策をとりつつ、イラク国内の活動の調整とモニタリングに従事させています。現地での作業と評価は、イラク国内や類似環境下での活動に豊富な経験を持つ契約事業者の手で行われています。また、地域での啓発活動、二次研修の開催、パイロットプロジェクトにおける現地共同活動等の様々な活動を実施するために、ネイチャー・イラク、湿原アラブ評議会、バスラ大学、ジカール大学、WEO: Women and Environment Organization(女性と環境の会)など、イラク南部で活動中の非政府組織やコミュニティグループ、学術機関との協力体制を確立しています。一方、日本のプロジェクト・コーディネーターは、プロジェクト管理全般の調整を担っています。

また、国連プロジェクト・サービス機関(UNOPS)はプロジェクトの実施と管理を支援しています。UNOPSがプロジェクトのインプットの提供、調達と契約、モニタリングと評価、報告を支援し、UNEPはプロジェクト実施の実質的な責任を担っています。

本プロジェクトでは、情報とデータの共有のための確かな基盤として、湿原情報ネットワーク(MIN)を構築しました。これはインターネットを利用した情報管理システムです。ネットワーク・ノード(ネットワークにアクセスできる接続ポイント)はイラクの関連各省の5台のサーバーと関連機器で構成され、システム管理のための適切な研修も実施しています。またこのネットワークは、国連職員の入国が国連のルールによって制限されているイラクの特殊なセキュリティ上の制約下で、モニタリングや報告を支援する実用的なツールともなっています。

UNEPの現時点でのプロジェクトに対する機能

プロジェクトでは、環境上適正な技術(EST)の施行やパイロット実施能力、紛争後評価の実施経験やイラクでのこれまでの活動経験など、UNEPが持つ様々な組織能力が活用されています。

ESTの提供: 国際環境技術センター(IETC)はこのプロジェクトの実施を担っています。IETCは技術・産業・経済局(DTIE)に属し、環境上適正な技術の円滑な移転を図っています。1994年の設立以来、以下のようなプロジェクトに直接関連する具体的な専門知識を活用して、開発途上国におけるESTの利用と能力開発のパイロットプロジェクトを支援してきました(資料:UNEP IETC, 2004)。

  • 開発途上国でのクリーナー・テクノロジーの実地調整経験を生かした環境技術評価
  • 水と衛生分野でのESTの適用
  • 環境教育と研修
  • 情報ネットワーク開発、特に、アフリカ、アジアの後発開発途上国でのシステム導入経験にもとづく、EST情報システム開発に関する専門知識
  • 水質管理および湿原管理におけるファイトテクノロジー(植物生態応用技術)の適用

パイロット・デモンストレーション能力: 技術・産業・経済局(DTIE)にはパイロット・デモンストレーションを直接実施する能力と実績があります。DTIEのナショナル・クリーナー・プロダクションセンター(NCPC)プログラムは国連工業開発機関(UNIDO)と共同で、10年間に24カ国で1,000件以上のクリーナー・テクノロジー評価とESTの試験的実施を行っています(資料:UNEP/DTIE, 2004年)。こうした能力はすでにリオプラス5やヨハネスブルグサミットで認められています。

紛争後の経験: UNEPはアフガニスタン、パレスチナ占領地域、リベリア、スーダン、その他の地域で紛争後環境評価を実施した経験があります(資料:UNEP/DEPI 2004年、2007年)。またイラクでは、環境省のための紛争地帯評価と能力開発を実施するプロジェクトを完了したばかりです。

湿原の評価: UNEPはイラク南部湿原の破壊に関して国際社会に警告を発した機関です。UNEPはイラク南部湿原の状況報告に主導的な役割を果たしており、現地パートナーとの協議を通じて分析や対応方法の提言を行う上で必要な、組織としての知識と情報を保有しています(資料:UNEP 2001年、2003年)。

ドナーと国連機関の連携強化のための方策

イラク南部での活動にともなう、さまざまな二国間、多国間機関との協力に向けた定期的な協議が、以下の仕組みを通じて行われています。

湿原管理活動に関する円卓会議

UNEPは2004年9月にアンマンで湿原管理に関する円卓会議を開催しました。この会議はイラク南部湿原で、国連開発グループ(UNDG)の枠組みの中における国連機関、二国間組織、非政府組織、その他の利害関係者の支援により行われている、環境面、非環境面の多様な取り組みの現状を検討する場となりました。イラク側担当者や関連省庁も参加要請を受け、環境大臣がイラク代表団を率いて参加しました。さらに、問題を重要視した、UNEPの事務局長、日本とヨルダンの環境大臣も参加しました。参加機関は討議を通じて、見識や現在進行中の取り組みに対する情報を交換し、協力関係をより強固にしました。

ドナー間調整

UNEPは2004年10月にイタリア政府が主催したイラク南部湿原に関する第3回ドナー調整会議で、イラク側とドナー機関の双方から、ドナー調整の連絡機関に指名されました。また、2005年11月にもフランスのパリでドナー調整会議が開催され、イラク政府3省の大臣、UNDGイラク信託基金のエグゼキュティブ・コーディネーター、その他関係機関の上級職員が出席しました。この会議では、長期的湿原管理計画の確立を支援・促進するため、ドナー支援を受けてイラク側主導で実施される、様々な取り組みに対する協力と現状について話し合われました。