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コンポーネント2:データ収集と基本分析


イラク南部湿原における環境条件、再冠水のパターン、コミュニティの位置および規模の変化、水質および住民への水の供給、生物多様性などの状況を知るためには、基本的なデータの収集が欠かせません。コンポーネント2では、必要なデータを収集することに焦点をおき、イラク南部湿原の基本的な環境条件を見極めると共に、そうしたデータの共有・管理を行うメカニズムの構築を行いました。


データと分析

本コンポーネントにおいて、UNEPは入手可能な情報の収集・分析を行い、対象となる活動を実施する地区の特定を行いました。「入手可能な情報」とは、再冠水の水文学的(水の発生・循環・属性を扱う地学の一部門)アセスメント、モデルおよび予想される展開などに関する二国間プロジェクトから得られた情報、および植物・動物種の地理的分布を分析した生物多様性アセスメントの結果や危機的状況にある地域などを言います。また、本プロジェクトでは対象地区において基本的なアセスメントを行い、水質および生物多様性に関するモニタリングのプロトコル(※)を確立すると共に、各コミュニティおよび複数の地点における水質汚染の状況を調査するため、水質および生物多様性に関するサンプリングと分析を行いました。こうして集められたデータは、飲料水と衛生設備の供給および湿原の管理に向けたパイロットプロジェクトに関する適切な技術および実施地区の選定に利用されました(詳細はコンポーネント4を参照)。
[※水質モニタリング・プロトコル:水質モニタリングを一定の基準を満たすために計画的に実施するために必要な手順(採水地点、採水方法、検査方法、データ分析および結果報告方法など)。]

データの共有・管理を推進するため、UNEPではインターネット上に湿原情報ネットワーク(MIN)を立ち上げ、関係者に情報交換の場を提供しています。MINにアクセスすれば、技術管理やアセスメント用のツールが入手できるだけでなく、個別の課題に適した解決策を見つけたり、関係者が共同で戦略を開発したりパートナーシップを組んだりすることできます。本プロジェクトでは再冠水および植生変化の状況のモニタリング・検証の支援も行いました。イラク人による参加・管理を推進するため、能力開発の機会を提供すると共に、データ収集、アセスメント、管理などの作業においてイラク人の専門知識を積極的に取り入れました。

データ収集と分析に関する技術会議(2005年2月21-22日、アンマン)

2005年2月には水質に関するデータ収集と分析に関する技術会議を開催し、イラク南部湿原における水質および生物多様性に関するアセスメントの先駆的な取組みとして、関係者の協力とデータ共有を可能にするメカニズムの検討を行いました。


水質モニタリング

2005年、イラク環境省と協同で、湿原地帯の6地点で水質および生物多様性に関するアセスメントを行いました。また同6地点で、飲料水の供給に関するパイロットプロジェクトを実施しました。

水サンプリング器具の提供

基本データの確立を目指した調査に使用するため、移動式水質検査機を3台購入し、イラク環境省に提供しました(2005年)。

湿原情報ネットワーク(MIN)

イラク南部湿原における環境および社会経済的側面に関する入手可能な情報は限られており、その共有化も進んでいませんが、こうした問題に対処するために湿原情報ネットワーク(MIN)が開設されました。また、UNEPとイラクの関係省庁の協議を通じて関係者間のコミュニケーションや情報共有が一般的に不足していることも判明しました。MINは2003年にUNEP国際環境技術センター(UNEP/IETC)が開発した環境上適正な技術情報システム(ESTIS)を枠組みとして利用しています。ESTISは多言語に対応可能な世界有数の情報システムで、すでに複数の開発途上国の政府機関・組織などで利用されています。

MINノード(ネットワークにアクセスできる接続ポイント)の確立

イラク国内の関係者による積極的な関与およびデータの共有・管理を推進するため、5ヶ所にMINサーバーが導入・設置されました。5台のうち4台はイラク環境省のオフィス(バクダッド、バスラ、ミサーン、ジカール)、残りの1台は水資源省のイラク湿原復旧センター(CRIM)に設置されました。

イラク南部湿原観測システム(IMOS)

湿原地帯における再冠水の状況および植被の変化のモニタリングを行うため、リモート・センシング(遠隔探査)や人工衛星による監視、およびグランドトルース(※)が可能なイラク南部湿原観測システム(IMOS)を開発しました。IMOSのホームページでは、2003年1月以降の土地被覆データや植生地図をダウンロードすることができます。同システムのメンテナンスは、本プロジェクトによって研修を受けたイラク人スタッフが行っています。
[※ グランドトルース (Ground truth):リモートセンシングデータを用いて導いた解析結果と、地表あるいは地表付近で収集された情報の間で、正確さや整合性をチェックする作業。 American Geological Institute (1987)はground dataの非推奨類義語としている。 本来は、リモートセンシングデータと地質現地調査を含む地表調査によって得られた情報との比較・検証を意味していたが、各種センサを搭載した航空機や衛星のデータが容易に入手される現在では、 1つのセンサによって取得されたデータを、ほかのセンサによるデータを使用して検証する場合にも用いることがある。]