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効果−プロジェクトがもたらす効果とその受益者


UNEPイラク南部湿原管理支援プロジェクトで進行中の第1フェーズと第2フェーズ、2007年に開始予定の第3フェーズの実施により、以下の効果があげられます。

  • イラク人の専門知識を生かしながら、飲料水供給、衛生整備、湿原再生のために、EST(環境上適正な技術)の導入と活用が行われています。
    • 6ヵ所のパイロットプロジェクト実施コミュニティ(アル・キルマシーヤ、バディール・ アル・ルメイドウ、 アル・メサハブ、 アル・ジュウェベル、アル・ハダム、アル・セウェルマット)で、最大22,000人の住民に供給可能な安全な飲料水が確保されました。新しく敷設された水処理施設の一日当たり総給水量は750立方メートル、配水管の長さは23キロメートルで、127ヵ所の共用給水栓を備えています。
    • プロジェクトの実施で飲料水が入手できるようになったこともあり、離散住民の一部がパイロット実施地域に戻りつつあります。また地域の安定が回復するに従い、南部湿原での生活再建の可能性が高まりつつあります。
    • 衛生管理システムパイロットプロジェクトはアル・チベイシュで実施されています。ESTによる人工湿地の造成は、付近を通る運河への未処理排水の放出で健康への悪影響が懸念されている約170人の住民を対象としたものです。
    • 湿地再生・再建の取り組みはイラク水資源省直轄のイラク湿原復旧センター(CRIM)との協力で実施されています。
    • 給水施設では、イラク人職員が運営・管理に対して、すでに1年以上の経験を積んでいます。
  • イラク南部の住民と生態系に利益をもたらす長期管理計画のために、以下の項目課題があげられました。
    • 適切な管理システム選択に関する経験
    • 利害関係者としての地域コミュニティへの認識
    • 政策・制度に対するニーズの評価
    • 湿原管理に関連して新たに組織されたイラク関係機関の特定(および、それら諸機関との協力)
    • 水質試験、衛星写真分析、リモートセンシング(遠隔観測)で収集した分析データの提供
  • イラク人政策決定者、技術専門家、コミュニティメンバーの能力と知識が向上しつつあります。政策や制度上の要素、技術的知識、コミュニティの取り組み、分析手法などの側面に重点が置かれています。
  • 評価、試験的事業の実施、啓発活動、モニタリングの分野で、専門家レベルやコミュニティレベルでの雇用機会が生まれています。
  • 南部湿原内部でのドナー支援による活動とイラク側主導の活動は、重複を出来るだけ避けると同時に、協力関係を深めるように調整が行われています。
  • プロジェクトにより、豊富なデータ(水質試験、衛星写真分析、リモートセンシングによる)、適切な技術選択(どの技術がどの場所でどのように機能するか)に対する経験、政策・制度に対するニーズの評価結果が得られ、共有されています。これらは、イラク南部の住民と生態系に利益をもたらす長期管理計画の策定のための情報として利用されます。

イラク南部湿原再生プロジェクトの主要な受益者:

  • 南部湿原のコミュニティ :2004年の統計数値(米国国際開発庁、2004年)によれば、イラク南部湿原のコミュニティの人口は85,000人から100,000人とされています。離散住民の帰還で人口は徐々に増え、500,000人程度になる可能性があります。このうち上水・排水・湿原管理のパイロットプロジェクトに参加しているコミュニティでは、安全な水が入手できるようになり、適切な衛生管理や水質管理が実施されています。加えて、パイロットプロジェクトの実施により、他のコミュニティに適した選択肢や管理手法が明らかになりました。コミュニティのリーダーはプロジェクトの利害関係者と認められており、彼らが提供する情報や意見が、パイロットプロジェクトの配置、コミュニティレベルの研修や取り組みに対する支援、長期管理計画の策定に反映されています。また、コミュニティはパイロットプロジェクトを実施・継続するために不可欠な存在であり、そのコミュニティレベルでの取り組みに対しては支援が行われています。現地の実施・維持管理チームのための実地訓練も実施されています。
  • イラク人政策決定者 :イラク環境省にはプロジェクト実施ユニット(PIU)が設置されており、湿原の問題に対してより統合化された形で取り組みを開始できるよう、組織面・能力面での支援を受けています。担当官庁やイラク南部諸州の政策決定者の中から、これまでに政策関連研修に約120名が参加しているほか、湿原管理の政策面に関するスタディツアーにも参加しています。さらに、訓練された専門家自身によるイラク国内研修の実施に対する支援が行われ、能力開発の効果を高めています。PIUと南部諸州では、湿原情報ネットワーク構築のための設備やサービスが、その使用研修とともに提供されました。情報管理やリモートセンシング(遠隔観測)の設備とソフトウェアも、使用と維持管理に必要な研修とあわせて提供されました。
  • イラク人技術専門家 :担当官庁や南部諸州および地方大学(バスラ大学・ジカール大学)の関連学部の技術専門家の中から、これまで約180名が技術研修に参加しているほか、EST実施の評価のためのスタディツアーにも参加しています。政策関連研修の場合と同様に、訓練された専門家自身によるイラク国内研修実施に対する支援を行い、能力開発の効果を高めています。参加者は、研修が終了後、習得した技術を、プロジェクト内のEST導入を必要とする様々な任務に活用することが期待されています。パイロット実施区域の選定や維持管理などの具体的な任務は、PIUの関与とUNEPの支援の下、現地の請負業者やコンサルタントと共に実行されています。このように、プロジェクトによって、訓練されたイラク人技術者に対する需要が高まっています。
  • イラク南部の住民 :2003年の国連調査で、マーシュ・アラブ(アラブ系湿地住民)は、より広範なイラク社会への融合の妨げとなる人為的な分裂と地域での対立を避けるために、周辺のコミュニティと区別した取り扱いを望んでいないことがわかりました。これにより、マーシュ・アラブへの支援と湿地再生への取り組みに対する支援は、イラク南部の再建に向けたより広範な地域開発の枠の中に組み込まれ、イラク南部湿原が位置する3州(ミサーン、バスラ、ジカール)に住む約250万人に、州の関連組織の活動を通じて、利益をもたらします。具体的には、州職員に研修の場、特に政策関連課題と評価手続きに関する研修の場が提供されています。湿原情報ネットワークの利用に必要な設備と研修も州レベルで利用可能となりました。

国家、地域、国際レベルでの水管理に関わる利害関係者も、このプロジェクトがもたらす利益を享受しています。何故ならプロジェクトの成果、特にデータや実地経験、そして適切な選択技術のより広範な適用に関する提言が、総合的な水資源管理能力の全般的向上に寄与しているからです。衛星写真分析と水質データが集約、一般公開され、プロジェクト開始以前は分析や政策決定に利用できなかった貴重な情報を提供しています。最後に、持続可能な湿原管理の促進は環境保護と水管理の両面で成果を挙げ、イラク人住民の健康や持続可能な暮しに明らかな恩恵をもたらしています。

本プロジェクトが終了次第、その成果をマスタープランの策定に積極的に利用することで、イラク国内のパートナーが必要としている、現場に適した技術を用いた事業実施の件数および範囲の拡大が見込まれます。

UNEPが収集した情報は一般公開され、国内外の全ての利害関係者がいつでも利用できる状態になっています。コミュニティに密着した活動を支援し、州政府をはじめとする様々な利害関係者をプロジェクト実施の全段階に関与させること、また、湿原情報ネットワーク内での対話と情報交換を活発化することにより、より多くの利害関係者がプロジェクトの管理、計画、実施の各段階に参加するようになりました。