About UNEPUNEP OfficesUNEP NewsUNEP PublicationsUNEP CalendarUNEP AwardsUNEP Milestones

環境上適正な技術(EST)を用いた飲料水供給とイラク南部湿原の水質管理に関する研修コース – 概要報告


イラク南部湿原環境管理支援プロジェクト
UNEP 技術・産業・経済局国際環境技術センター(DTIE/IETC)
大阪、京都、滋賀
2006年12月6〜15日


背景

飲料水供給サービスは公衆の健康を守る上で必要不可欠であり、イラク南部湿原の住民にとって優先課題の一つです。住民の中には給水車から水を購入できる人もいますが、多くの住民、特に湿地に住んでいる人々は、湿地の水を処理せずそのまま飲料水として利用しています。そのため、水が媒介する病気の発生が広く見られます。

飲料水供給は不可欠なサービスですが、その問題だけを切り離して解決することはできません。南部湿原では水の汚染や持続不可能な水管理によって、水が媒介する病気が発生し、生態系にマイナスの影響を与えています。評価やモニタリングプログラム、法規制や制度的枠組み、そして地域コミュニティの参加を含めた、適切な水質管理に向けた政策や戦略の必要性は明らかです。

こうした必要性に応えるため、UNEP IETCは、現在進行中のUNEPイラク南部湿原環境管理支援プロジェクト第2フェーズの一環として、環境上適正な技術を用いた飲料水供給と水質管理に関する研修コースを開催し、日本政府が研修実施に必要な資金を提供しました。


概要

技術研修は2006年12月6〜15日の日程で、日本の3ヵ所(京都、大阪、滋賀)で開催されました。研修の全体的な目的は、飲料水の水質基準、水処理に用いる脱塩技術、そして水質管理に関する、イラク政府職員の能力、技能、知識の向上です。研修には、環境省、水資源省、地方自治公共事業省から9名のイラク人職員が参加しました。

研修は講義、現地視察、グループによる作業演習によって構成され、参加者は活発にディスカッションを行いました。この研修の開催には地球環境センター(GEC)がUNEP IETCに対して支援を行い、また大阪市水道局や、琵琶湖・淀川水質保全機構、そして東近江水環境自治協議会(西の湖)からも技術支援と協力が寄せられました。


講義

講義は非営利組織の代表者やIETC職員に加えて大学教授、産業界の専門家、市の担当職員が行い、脱塩技術、配水網の運営・維持管理、ESTの実施・評価、衛生設備と湿原の状態、水域管理における統治上の問題等が題目として取り上げられました。


現地視察

現地視察は、調査やPR・啓発活動による水源保護の取り組みや、日本国内の水処理施設について知識を深める機会として実施されました。訪れた施設は、庭窪浄水場、Biyoセンター(琵琶湖・淀川水質浄化共同実験センター)、西の湖(東近江水環境自治協議会)などです。現地では施設職員による説明の後、施設見学と質疑応答が行われました。


グループ演習

グループ演習は、講義や現地視察で学んだ知識を応用する機会を提供するために行われました。演習のテーマは水質管理計画の作成と実施、コミュニティとのパートナーシップを統合し、計画立案にコミュニティの参加を得るための利害関係者による分析等です。研修コースの最後に、2つの課題 – (1)イラク南部湿原の農村地域での飲料水供給における技術的課題、(2)イラク南部湿原の水質向上に必要とされる主な活動 – のどちらかを選んでグループ毎に発表が行われました。研修期間中に得た知識や経験の総括もあわせて発表されました。


その他

上記研修コースと時期をあわせて、イラク南部湿原管理に関するUNEPの国際ワークショップが開催されました。このワークショップは、イラク南部湿原の現状の検討、特に現地で実施されている管理に向けた様々な取り組みの結果や成果の分析を行い、こうした取り組みに対するイラク人利害関係者の意見を聴取し、持続可能な湿原管理の支援をさらに強化する方法を検討することを目的に開催されました。研修参加者は丸1日におよぶこのワークショップに出席し、ドナー政府だけでなくイラク各省高官との交流の機会を得ることができました。