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イラク南部湿原における水質モニタリングプログラム


2005年4-12月

イラク南部湿原の環境条件に関する基本データの収集・分析を目的として、水質モニタリングプログラムが実施され、特に飲料水と衛生設備の提供を目指したパイロットプロジェクトの実施地区に選ばれたコミュニティにおいて集中的な取組みが行われました。今回の取組みはUNEPのイラク南部湿原環境管理支援プロジェクトの一環として、UNEP技術・産業・経済局国際環境技術センター(UNEP-DTIE-IETC)とイラク環境省との間で取り交わされた覚書に基づいて行われました。

今回の作業は、イラク水資源省、マーシュ・アラブ・フォーラム、ネイチャー・イラク、イラクファンデーションの協力を得てイラク環境省が実施し、UNEP-DTIE-IETCは、作業の調整と報告書の取りまとめ作業を担当しました。2005年4月から12月にかけて、6つの地域(アル・ジュウェベル、アル・キルマシーヤ、バディール・アル・ルメイドウ、アル・セウェルマット、アル・ハダム、アル・メサハブ)においてサンプリングを目的とした調査が5回行われました。

収集したサンプルのすべてにおいて、全容解固形物(TDS)と糞便大腸菌群が高い濃度で存在することが報告されました。こうした汚染物質の濃度は飲料水の水質基準を上回るもので、湿原の水を飲料水として利用する際の処理の必要性を示しています。そのため、人々の健康を守るという観点からも、同湿原における飲料水の供給に向けた処理施設の整備が求められます。

一方、PAH(多環式芳香族炭化水素)、農薬、重金属などの微量汚染物質の検出量は、原水源に関するWHOや米国環境保護庁の水質基準を満たしていました。また、サンプルからは放射能は検出されませんでした。

植物性プランクトン、魚類、大型植物、大型底生動物の多様性、個体数は、2005年5月から9月にかけてすべてのパイロット地区で増加の傾向を示し、生物群集が増加してことが示されました。同湿原の回復を見極めるためには長期間にわたるモニタリング・分析が必要となりますが、こうした結果は同地帯の環境が改善しつつあることを示すと同時に、イラク南部湿原の生物群集が回復、改善しつつあることを示すものです。

堆積物のサンプルから検出された重金属の含有量は、重金属に関するEU土壌基準(EUC指令86/278/EC)を満たしていることがわかりました。また、農薬とPHAの濃度は低いという結果がでました。サンプルからは放射能は検出されませんでした。

比較的短い期間で広範囲に及ぶ分析が行われ、今後継続的に行われるモニタリングのための基礎データとしてだけでなく、湿原の生態系回復に関するモニタリングの基礎データとなりました。同湿原の再冠水・再植生の状況が変化し続ける中、湿原の生態系の回復状況やトレンドのアセスメントを行い、こうした湿原村落に帰還した住民の健康を守るためには、水質や生物多様性の状況のモニタリングを定期的に行っていくことが求められます。


要約報告書ダウンロード(PDF 784KB)

要約報告書 添付書類2ダウンロード(PDF 18KB)