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イラク南部湿原の環境管理支援


“2007年度 UN 21 Award Commendation”を受賞



イラク南部湿原は中東において、最大の生態系を有する、自然環境としても社会文化的に見ても重要な意味を持つ湿原です。この湿原は1970年代以降、旧イラク政権による上流のダム建設や排水事業で多大な打撃を被り、生物多様性に富み、独自の文化遺産を有していたこの湿原は、旧政権が崩壊した2003年には、ほぼ壊滅状態になっていました。

この地域の広範にわたる生態系への被害と、それに伴って地域住民が移住を余儀なくされた事態は、国連環境計画(UNEP)とイラク復興のための国連・世界銀行共同ニーズアセスメントによりイラク国内における環境上、人道上の重大な災害の一つと認定されました。

2001年、UNEPはイラク南部湿原の破壊状況について、湿原の90%がすでに消失している事実を衛星写真で示し、世界に警告を発しました。専門家は緊急対策を取らなければ、湿原の生態系は3年から5年以内に完全に消滅するのではないかと危惧しました。

旧政権が終わりを告げ、人々は水門を開き、湿原への水の流入を防ぐために建設された堤防を取り壊し始めました。湿原地帯の全域ではありませんが、一部ですでに再び水が流入しています。衛星写真とUNEPの分析によって、季節変動はあるものの、再流入が継続していることが分かります。

またこの地域では下水による汚染や塩分濃度の上昇、農薬や上流からの未処理産業廃棄物による汚染などで水質が悪化しています。この問題の原因の一部は排水管理と水質管理が不適切である上に湿原への水の流入が乏しい点にあります。

2003年の国連関連機関による評価と米国国際開発庁(USAID)による公衆衛生調査で、住民にとって最も緊急を要する課題は安全な飲料水の確保であることが分かりました。この地域に住む人々の多くは湿地の水をろ過せずに未処理のまま飲むしか手立てがありません。UNEPは地域コミュニティやイラク政府職員との話し合いを通じて、安全な飲料水の供給が地域住民にとって最優先課題であることを確認しました。

人々の健康や暮らしを守り、地域の生態系と生物多様性を保全するために、イラク当局は水質と湿原の管理を国連開発グループ(UNDG)イラク信託基金のもとで復興を進める上での優先課題リストに載せて、直接ドナー国政府に対して支援を訴えました。



UNEPのイラク南部湿原再生管理支援プロジェクト

2004年8月、湿原地域におけるイラク国内の優先課題に環境上適正な方法で対応するために、UNEPの「イラク南部湿原環境管理支援」が開始されました。このプロジェクトでは、イラク南部湿原の持続可能な管理と再生の支援を目指し、それに向けた戦略策定の促進や、湿地状況のモニタリング、イラク人政策決定者の能力開発、そして、水、衛生設備、湿地管理手法の試験的提供を行っています。

プロジェクトの最初の段階(第1フェーズ)の資金は、2004年に日本政府よりUNDGイラク信託基金を通じて提供されました。2006年、プロジェクトは日本・イタリア両国政府による追加資金拠出を受けて延長されました(第2フェーズ-A、第2フェーズ-B)。また日本政府からのさらなる資金拠出の約束を受け、プロジェクトは2007年、2008年に第Vフェーズへと展開しています。

以下の図は上記3フェーズの主要活動を示しています。各フェーズの詳細は本ページ左側見出しの各サイトをご覧下さい。

プロジェクトを組織的に実施するために、UNEPはイラク環境省(MOE)、水資源省(MOWR)、地方自治公共事業省(MMPW)等のイラク政府各省庁、また各州、地域組織、学術機関と緊密な協力関係を確立しています。またUNEPは南部湿原管理活動において、様々な国連機関や二国間機関およびイラク側との調整役を果たしています。

プロジェクトの実施は日本にある国際環境技術センター(IETC)が担っています。1994年の設立以来、IETCはEST(環境上適正な技術)の普及を支援してきました。IETCはUNEPの技術・産業・経済局(DTIE)に属する機関です。